第 9回 2004年08月26日 

 

青銅器の鉛同位体比法の研究の現状について(中辻輝紀)

青銅器の歴史と製造について(田中忠)

中国および日本産の青銅器の蛍光分析(田中忠)

 

青銅器に関する鉛同位体比法の原理、歴史、現状の成果の概要と問題点、さらには青銅器の歴史と製造再現実験、青銅器のスプリング8での分析結果の例などが紹介された。

鉛同位体比法から推定される鉛の産地と青銅器の製作地は必ずしも一致しないことや、データのばらつきを考慮すると、現段階では他の科学的方法や従来からの考古学的手法を併用して青銅器の製作場所や年代を推定する必要がある。また、銅の性能を向上させる「錫」の産地と言う観点から検討すことも重要である。さらに、今後このような科学的データの益々の蓄積が期待されるが、データの扱いに関し、研究者の恣意的な処理ではなく客観的な評価が必要であるという議論がなされた。