第51回 2012年07月03日 

 

年輪年代と炭素14年代の整合性-100年遡上論の検証(鷲崎弘朋)

 

飛鳥奈良時代の事例について、旧い標準パターンを使用した年輪年代測定値は、AD640年以前は文献記録より100年古く測定していることが分かった。講師は、年輪年代測定には新しい標準パターンを、C14年代測定には日本産樹木校正曲線を使用すべきと考えており、旧い標準パターンを使った別の事例を100年新しくしたとしても日本産樹木校正曲線と矛盾しないことから、100年の修正が可能であるとした。いずれにしても、ばらつきの大きなC14年代だけで論じるのは危険で、記録との整合性を重視すべきである。以上の考察から、弥生時代100年遡上論の根拠となった旧い標準パターンのAD640年以前は100年古くずれていると結論付けた。