第62回 2014年10月21日 

 

銅鐸の分析(下山繁昭)

 

東京国立博物館所蔵の銅鐸53点とその関連の青銅製舌の銹を分析した結果を取り上げた。鉛の同位体は質量204、206、207、208と4種類あるが、その混合比は鉱山によって違うので産地が区別できる。まず青銅鏡の分析結果から、前漢鏡と古墳出土鏡(後漢以降の中国鏡)と朝鮮半島製(多紐細文鏡等)の三つのタイプに分けられた。これと銅鐸の鉛同位体比を比較すると大部分の銅鐸は前漢鏡タイプとなったが、泊鐸と泊舌、出土地不詳鐸だけは異なり朝鮮系遺物の鉛同位対比と極めて近い値となった。これに近い日本の鉱山としては対馬の対州などがあるが、泊舌が全く違う値となるので日本産ではなく朝鮮半島の忠清南道の可能性が高い。結論としては、初期は朝鮮系の材料を使ったが不足して中国系(華北産)に変わったと考えられるとのこと。