第65回 2015年07月03日 


酸素同位体比を用いる新しい木材年輪年代法について(近藤照夫)

 

木材の主要成分であるセルロースに含まれる酸素の同位体である18酸素と16酸素の存在数の比(18酸素/ 16酸素;酸素同位体比)は、樹木が死滅して地中に埋没しても永遠に変化しない。本手法は、このことを利用して年輪年代を測定する手法である。同じ地域内であれば酸素同位体比は樹木の種類に関わらず同じ変動パターンを示すことから、年輪データの多いヒノキやスギから作成した酸素同位体比の標準変動パターンを用いれば全ての木材の年代推定に利用可能であるとのこと。総合地球環境学研究所の中塚武教授を中心とする研究グループの研究成果が紹介され、年輪年代の新たな測定法として期待されるものであることを確認した。