第23回 2007年01月26日 

 

鉛同位体比から見て三角縁神獣鏡は非魏鏡(新井宏)

 

講演では「東アジアの古代文化」129号に掲載された同氏の論文に基づいて説明があった。

三角縁神獣鏡の鉛同位体比は、後漢期以降の確実に中国製と考えられる鏡の鉛同位体比とは全く異なり、仿製鏡や朝鮮半島の青銅器のものとよく一致する。加えて、確実に中国製の鏡と漢期の鏡を混ぜて作った可能性についても検討した結果、両者の混合では合成できず日本か韓国産の鉛を添加しないとできない成分を持つものがあることから、三角縁神獣鏡は非魏鏡であると結論付けている。

これに対し、すべての三角縁神獣鏡の成分分析をした訳ではないので、さらに分析例を増やすことが重要であるなどの議論があった。