第30回 2008年05月12日 

 

なぜ炭素14年が古くでるのか―実例と理論的な背景(新井宏)

 

日本における炭素14年のデータは、国際校正基準曲線に比べて実測値は全体的に古く出る傾向にある。歴博のデータにもこの傾向がある。一般にこの年代測定法では、地球上での緯度や高度(C14の濃度分布)、海との遠近(海洋リザーバ効果)によって同じ時代のものでも違った結果になる。さらには火山や石灰石の影響によっても年代が違って出る可能性もある。したがって、欧米やトルコのデータに基づいて作成した国際校正基準曲線は、日本でのデータと合わない可能性があり、日本での適用には慎重さが必要である。