第35回 2009年04月16日 

 

鉄滓分析値から見て弥生時代に製鉄は行われなかったか(新井宏)

 

日本では縄文末期から鉄の使用は始まっているが、製鉄の確実な証拠は古墳後期までない。この800年の間に日本では製鉄が行われなかったのかという問題に対して、製鉄反応の照査に有効なAs、Sb、V、Tiなどの微量元素を指標成分として取り上げ検討した。これらの成分について日中韓の鉄を比較すると、中韓の鉄にはあまり含まれない砂鉄由来の成分が日本の鉄には多く含まれるケースが多くあった。このことから国内で弥生時代に砂鉄を併用して製鉄した可能性は否定できないと結論付けた。