第80回 2019年5月24日 年輪年代法による「弥生古墳時代の100年遡上論」は誤り(鷲崎弘朋)

 

年輪年代法で、弥生中後期および古墳開始期が通説より100年遡上した(池上曽根遺跡等)。しかし、肝心の標準パターンと基礎データは非公開でブラックボックス。また、飛鳥奈良時代の建造物でAD640年以前を示す事例(法隆寺五重塔等)は、記録と全て100年以上乖離があり100年修正すると整合する。

光谷実拓氏のヒノキ新旧標準パターンのうち旧パターンは飛鳥時代で接続を100年誤り、弥生古墳時代の100年遡上は全てこの誤った「旧標準パターン」に起因する。なお、新標準パターンは正しいが、古代の測定事例はまだほとんど無い。

 ①旧標準パターン:1990年作成(BC317~AD1984) 全国各地のパターンの寄せ集め。

 ②新標準パターン:2005~2007年作成(BC705~AD2000) 木曽系ヒノキだけで2700年間をカバー。

なお、今回講演に先立ち、5月11日に光谷氏が全国邪馬台国連絡協議会(全邪馬連)・東京支部大会で講演し、鷲崎氏による光谷批判は当たらないと反論した。しかし、この光谷講演でも標準パターンと基礎データは依然として非公開で「データを何も示さず、相変わらずブラックボックス」、「データも示さず自作自演で結論のみ」。本会後、6月9日の全邪馬連・年次総会において、奈良文化財研究所に対し情報公開請求制度に基づき、新旧標準パターンのデータ開示等を請求することが満場一致で可決され、今後この決議に基づき、情報公開請求を進めることになった。