第83回 2020年1月31日 

 

考古学へのGoogle画像の利用で歴史を科学する (香川重善)

 

「なぜ考古学にGoogle画像の利用を考えるか?」衛星画像データが利用可能となったのは、1972年アメリカの地球観測衛星Landsat-1に始まる。しかし、利用には専門的な技術が必要で高価であった。1990年代~2000年に、GIS(地理情報システム)解析ソフトの導入で、多様な分野の解析が可能となったが、高価であった。そして、2005年「GoogleマップとGoogle Earth」が無償で公開、世界の衛星写真や地図データを、Webサイトで、個人が自由に利用できる画期的な事件が起こった。アフリカの地下水開発では、新設深井戸と森林内の2mの雑草を幅1.5m~2mで開削した直線の通路が、帰国後1ケ月にGoogle画像で認められ驚いた。無料の衛星画像が精度1m前後で、タイムリーに取得できるGoogle画像は、考古学調査で簡便に活用可能な方法と理解した。この会場、「きゅりあん」のアクセス検索図から、航空写真、衛星画像のスケール変換で、関東や列島の地理情報も取得出来る。Google Earth機能は、特定の古墳の検索アプローチが可能で、全国遺跡報告書総覧サイトとの併用で、考古学的考察が自宅で可能となる。世界遺産の鷲ノ木遺跡の縄文・環状列石と集落、英国ストーンヘンジ遺跡との比較、奈良の都と地方を結ぶ古代道路(駅路:えきろ)と駅家(うまや)は、平安時代後半(10世紀末~11世紀)頃に消えた。この全国の古道の痕跡が、Google画像の活用と試掘で確認される。東京都利島や神奈川県相模地方の環濠跡や地形的な特異性がGoogle画像で確認されるが、旧石器時代以降、縄文、弥生、古墳そして中世から近代の歴史遺跡地図と対比することで、考古学と古代史を科学できることを提案した。